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  • 2020.05.15

(第5話)お金が蒸発した!~同居に踏み切るまで~(前編)

【終りと始まり】 トイプードルの二代目ポーを新しい家族として実家に迎えてから2年ほどの間、僕と嫁氏は、ひたすら家業である明太子屋をどうにか存続させる道を探った。しかし、右肩下がりの状況は一向に改善する兆しがなく、いよいよ廃業が現実味を帯びてきていた。 従業員や関係者にできるだけ迷惑をかけずに、どうやって店を畳むか。そのことが脳内の98%くらいを占めていて、残り2%を食事と睡眠に充てていたので、ハハ […]

  • 2020.04.23

(第4話)救世主は体高20cm

【どうやって言語野を刺激するか。それが問題だ】 …ハハの認知症の進行には、たぶん、会話が激減したことが大きく関係している…。 世間話をするうちに、ぼんやりしていたハハの頭の回転が分単位でみるみる回復していく様を何度も目の当たりにして、僕はそう確信するようになった。 だが、僕たちとハハは離れて暮らしている。しかもほぼ毎日、夜中にしか帰って来れない生活から抜け出せない中、どうやって一人暮らしをしている […]

  • 2020.04.20

(第3話)ソウル事件

【じわじわ】 接客販売の現役を退いてからわずか1年で、ハハはジワリと…しかし明らかに、認知症と思われる症状を見せ始めた。 とはいえ、急激に進行しているかというとそんなことはなく、実生活に支障が出るようなところまでは行っておらず、普段の会話のやり取りにそれほど不自然さはなかった。相変わらずひとりで食事を作り、身の回りのことをこなし、趣味の書道教室などにも精力的に通っていた。かな文字の腕が上達し、賞な […]

  • 2020.04.14

(第2話)ピータン事件までの道のり

自分からピータンが食べたいとリクエストしておきながら、中華料理店に着いたら、そもそもピータンとはどういう食べ物なのかを思い出せなくなっていたハハ。この「ピータン事件」は、僕たち夫婦にとってかなり衝撃であり、ハハが認知症であると認めざるを得ない決定的なターニングポイントだった。 にもかかわらず、それから実際に介護のための同居が始まるまでには、実に7年もの時を要している。 一体なぜ、それほどまでに遠回 […]

  • 2020.04.08

(第1話)「あっ…認知症?」ハハの変化に気づいた瞬間

これは、10年離れて暮らしていた親と同居をせざるを得なくなった男・エンゾーと、その妻(嫁氏)の、現在進行形の「介護戦記」です。 【登場人物】 ハハ エンゾーの母。元・やり手の店頭接客販売員。認知症になり様々な事件を巻き起こす。 エンゾー 小さな会社の経営者。結婚を機に実家を離れ、嫁氏とマンション暮らしをしていたが… 嫁氏 エンゾーの妻。人手不足につき、エンゾーと同じ会社で働く。ハハに翻弄されていく […]